2012年07月22日

売るだけが仕事ではない

「a.n. design works」という名前をご存知でしょうか。

このロゴをお見せしたほうが話は早いかもしれません。

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DSCN1845.jpg

"and-style.com"と書かれたこの自転車は結構目にします。

なにやらプロジェクト的に
自転車を作っているようですが
その実態は粗悪自転車のオンパレード
といったところでしょうか。

先に書かせていただきますが、当店は何も恐れません。

実際に修理をした自転車の中でも
このメーカーの自転車ほど
度肝を抜かれる粗悪だったものが無い
からです。

以前、クランク部分のパーツが最初から曲がっていて
ソレを無理やりねじ込んだ結果
1年足らずしか乗らないのに廃車になった自転車があった
という事が何度かありました。

辿るのが面倒なので割愛しますが
ここの過去ログにあると思います。


さて、私が今日書きたいのは
このメーカーがダメと言うことではありません。
そんなことはもう既に知った事実ですし
粗悪な自転車を投売りしているのは
この会社だけではありませんから。

何を言いたいのかといいますと

上の写真の自転車はこちらで

DSCN1843.jpg

今日お持ちいただいた自転車なんですね。

「子供が乗ってるんですけど
なんかブレーキが硬いみたいで
それにペダルも重くて
ちょっと見てもらえないですかね」


お客さんはこう仰りましたので
私は即座に聞きました


「買ったお店では調整してもらいましたか?」


するとお客さんはこう答えました


「いや、ネットで・・」


・・・。


・・で?


私は、はっきりこう言いました

「だからそうなるんですよ」


あまり知られておりませんが
幼児用自転車というものは
実は調節がとてもシビアなのです。

そもそも、大人に比べると半分以下の力しかない
子供の為に作られている自転車とはいえ
個人差などもあるために色々と調節する場所も多く
当店ではほぼ100%、本人と一緒に
サイズや握り具合などを調節します。

幼児車や子供車のケースだけではなく
自転車屋であれば、大人車でも
基本的な話で、これは当然の作業です

量販店などは素人同然のアルバイターが
適当にハンドルひねっておしまいなので
買ったその帰り道にハンドルが曲がって事故にあうとか
空気が入ってないまま渡してパンクするとか
そういった修理は実際に多々あるのです。


そしてネットショップ等の通販というのは
そもそも誰が組み立てたのかすらわからない
売っている人間が自転車整備士や組立士の
資格を持っているかどうかすらわからない

そういう会社が運営しているというベースがあり
その上で、そういう細かい作業も全部すっとばして
誰だかよく解らない自転車の知識なんか全然無いような
運送屋の人に任せてどんな状態で運ばれてきたかも解らない中

おうちにドンと届いて

「はい、あとは勝手に乗ってねありがとう!」

これが通販です。


そんなことも知ってか知らないでか
ユーザーは100円でも安いお店を
目を更にして探し回って
通販は最高に安い!と思い込んでいますが

最後はこうやってお店にやってきます。

さてさて、この修理はいくらかかることでしょう?


デザインだけを選んでいるのであれば
その自転車や会社に文句を言ってはいけません。
当店でこのメーカーを取り扱いすることは
品質的にあり得ないので申し訳ございませんが
ただ自転車に関しては最低限度
対面販売で買うことをオススメします。

そしてこれだけは肝に銘じておいて頂きたい。

自転車は買って終わるものではありません。

私はインナーウエアをよくユニクロで買いますが
ユニクロで買った服が原因で事故にあったり
ユニクロの服で人を跳ねたりすることはありません。

ユニクロで人が死ぬことはまず無いといっていいでしょう。

しかし自転車は服とは違い、修理が絶対に必要であり
安全という部分の注意を怠ったら
自分であれ他人であれ、命に危険を及ぼすものなのです。

売り逃げで終わるお店で買うことは
それなりの覚悟をする必要があるということです。


大人の方でも、販売時に調節をしていると

「え?そんなところも動かせるんですか?」

という声をよく聞きます。

人間は同じ身長でも手足の長さも違えば
男女の違いが無くても握力もバラバラ。
であれば、同じ自転車の乗ったからといって
全ての自転車が同じ設定で
全員が気持ちよく乗れるはずがありません。

そんなこと、普通に考えればわかることです。
車ですら、運転席のシートの角度を変えますよね?

私からすると、驚かれるお客様に驚きますが
でも、そもそもお客様は知らなくてもいい話なのです。
それをお伝えするために私たちがいるのですから。

自転車の場合はサドルの高さは自由に出来ますが
ハンドルやブレーキの調整は容易ではありません。
ですから最初にしっかりと
無理の無い姿勢で気持ちよくお乗りいただけるよう
私たちはお客様のご要望にお答えするのです。
そのための技術です。

それが自転車屋さんの仕事です。
当たり前のことです。
本来、わざわざ言うまでもないことなのです。

売るだけで終わりの人間は
そういう基本が無い人間。

何を信用できようか。

つまり最初から無責任ということです。


物事が多様化してきた時代。
そこで本当に問われるのは
ユーザーの眼力ではないでしょうか。
posted by シンワ店長 at 13:34| 日記